専門的技術
広島の気候風土にあう家づくり
広島市の気候風土は瀬戸内の温暖な地域で住みやすい気候だと思っておられる方が多いと思いまが実際はどうでしょうか。12月 1月 2月と3月中旬までは結構寒くて、7月 8月 9月は長期間相当暑い思いをされているのではないかと思います。又毎年8月6日の原爆の日のころは燃えるような暑さでもあります。2019年の夏 8月には屋根の温度は70度を超えました。その時2019/8/5の私のブログリンクしておきます。
広島の気候風土を知る
以前全国の平均温度・湿度を調査した時に解りましたが札幌の真冬の平均気温は温暖化の影響もあるのか現在-2度ぐらいで真夏は23度ぐらいでした。冬は寒いけれど湿度も低い夏にはエアコンは殆ど必要ありません。札幌では冬を旨にした性能の住宅を考えれば一年を通して快適に暮らせるでしょう。
鹿児島の枕崎では真冬の平均気温は10度ぐらいで夏は広島市と同じ様に28度ぐらいで湿度も同じ位でした。日射量は広島より多く風の吹く日も多い鹿児島で建設される家は日射を調整し風向きを考慮した夏を旨にした住宅の性能が必要で冬の寒さ対策は広島市ほど必要ないといえるでは無いでしょうか、それでも高断熱化も少しづつ振興しているようです。
全国の都市の平均気温・平均湿度・風の有無・日射量を比較すると住みやすさがわかります。詳しくは気象庁のデーターで比較されればよくわかると思います。
以下は広島市の2007年の1月と8月の平均温度・湿度です
1月の平均気温は約6.2度平均湿度約67%
8月の平均気温は約28.8度 平均湿度約68%
広島市では夏むし暑く夕方の一番暑いときに風の吹かない凪ぎの日も多く湿度も高く札幌の人が夏広島に旅行に来られると暑さと湿度の高さに驚かれると思います。冬は皆様が毎年体験されるように相当に寒いです。私の北海道に住む大学時代の友人は出張で広島に来た時広島の人はこんな寒い家によく我慢して住んでいるねと不思議そうに言ったことが今も印象に残っています。広島市で年中心地よく暮らすには夏にも冬にも適応する住宅の性能が求められると私たちは考えています。又体感温度は10度を下回る所から湿度が上がるほうが寒く感じるようになります。体感温度は風速にも随分影響します。そのことが解るミスナールの体感温度計算するサイトをリンクしておきますので、冬温度0度で湿度が25%位の札幌と川沿いなどの高い高湿度の広島の80%位を計算してみてください。風速も1~2を入れてみると風の影響が体感温度に大変影響していることも解ります。
広島市に住んでいる方はその気候風土に慣れて暑いのも寒いのも当たり前に思うようになりますが。北海道で建設される寒さの対策のされた家では冬は心地よい暮らしが可能で鹿児島では日射遮蔽や風向きなどの暑さ対策のされた家では夏に心地よい暮らしが可能になっています。
我々の住む広島市は瀬戸内海の温暖な地域で住みやすいと思われている方も多いと思いますが広島市は意外に冬の寒さや夏の暑さを客観的に全国の都市と比較すると過酷な気象条件の地域と言えるのではないかとおもいます。
真夏の屋根上の温度は2019年には70度を超えていました。高価なマンションの最上階に住む人が夏に我慢のできない位暑いといわれるのは、その70度以上に熱せられたコンクリートからの輻射熱が天井裏を通して室内に侵入しているからです。天井面の輻射熱が強いと頭上を暑くするため人には耐えがたい過酷な暑さになります。
広島で地下熱・地中熱の利用
広島では地下室は夏には冷たい熱を供給してくれて冬は安定した温度の蓄熱層としての役割をしてくれます。地中の温度が安定している事は地中熱ヒートポンプを併用して暖房をして地中の熱を地下部分のコンクリートにある程度蓄熱することも可能です。地中の熱は安定していますが取り出す為のイニシャルコストがかかります。冬にマイナス温度にまでならない広島では地中熱を利用するより高断熱プラス+エアコン(普通のヒートポンプエアコン)を使う方が費用対効果・効率ともまさるといえます。
夏場には地下室は冷房が利いている位冷たくなります。そのわずかな熱利用は断熱性能を上げるほど効果が高くなります。
私たちが考える広島での心地よい暮らしを可能にする家の性能
【夏編】
夏の70度度超える屋根の熱をいかに生活の温度まで下げるかが重要です。私たちは空気の層や断熱を工夫することでほぼ生活温度まで天井下の温度を下げることが可能になりました。屋根は北海道よりも高性能な遮熱・断熱を組み合わせ輻射熱をカットさせ若干でも頭上が涼しく感じるぐらいの性能が大切です。
夏の室内は外からの熱をカットしても室内で発生する冷蔵庫・電子レンジなどの調理器具・テテレビ・照明器具・人間の熱(一人で60Wの照明と同じぐらいの熱量を出します)最近の大型テレビは今までのテレビよりは省エネ家電ですが画面の温度は40度を超えています。大きなテレビを購入すれば夏にテレビがヒーターになり室内は暑くなることを知っておく必要があるでしょう。
その様に生活をするうえで発生する生活熱熱を室外に追いやる工夫がなされて初めて夏対策のされた家が可能になります。
夏の広島市では無風の凪ぎと高い湿度を低く抑える工夫も必要です。技術的にはいろいろ方法を合わせて行いますが、当社のオリジナルの考えがありますのでここでの詳しい説明は控えさせていただきます。
【冬編】
冬は省エネルギーを追及すると現在北海道で建てられているような熱損失係数が1になるQ1住宅を建設すれば6~10帖用のエアコン一台で家中の暖房はまかなえるようになると思います。家族の多いお住いでは人の体温やテレビや照明器具などの家電から発生する熱が暖房代わりになり又窓からの太陽光の熱を室内に取りいれて殆ど暖房機なしで冬に快適に暮らしていただくことも可能だと考えています。
また太陽光発電を併用すればイニシャルコストはかかりますが電気などの光熱費が全くかからないどころか逆に電力会社から余剰電力を売電するほうが多くなる事も可能になります。最近は余剰電力の買い取り価格が低くなったため、エコキュートを昼間に作動させるとか、蓄電池と併用することもこれからの課題と思っています。三菱電機のVS2を使いリーフと連携させる方法はばって容量が40KW以上あり有効ですが、その費用対効果だけを求めるとまだまだこれからだとおもいます。これから電気代が高くなり、バッテリーが安くなるようであればお勧めしたい考えだと思います。
北海道で建てられている高性能なQ1住宅が広島でも必要かと私は自問自答するのですが、最近Qpexではレベルは1~4まであります。地域は地域差によって変わりますがQ値1.2程度の住宅仕様の建築コストは広島で建設しても住宅設備等を贅沢な仕様にされず一般的な高さ450程度の基礎断熱工法であれば坪単価60万円位で可能かと考えています。40坪で2400万円(税抜き)位を参考にしていただけるといいでしょう。ただしその坪単価は一般的にいう坪単価で消費税 外部の設備工事 設計費 諸雑費 諸経費は別に必要です。建設地が確定した時点で、その敷地の給水 排水の有無 地盤調査結果 敷地の条件によって価格は変動します。あくまでも参考価格としとらえてください。
ただし私が今まで広島でリフォームや新築をさせていただいたお客様のところへ夏冬訪問させていただいた上ではQ値1.6位から一年中の快適性が確保はできています。Q値1.6の住宅では前者の暖房のエネルギーは必要ですがそこそこ快適な生活は可能です。Q値1.9でも給気などを配慮すれば寒さ少なく暮らせています。
熱交換換気を取付けた場合と第3種換気での冬の暖房時期の光熱費の差は4000~6000円/月程度だと考えています。熱交換換気を取り付けると光熱費は下がりますが、換気フィルターの掃除など定期的なメンテナンスが必要になります。
熱交換換気は10年以後ぐらいから換気の機械が壊れる事も想定して故障の可能性の大きいモーターなどが壊れた時、部分的な修理可能か、取り替えの時には安価に取り換えられ手間も少なくなるように施工も考えておかなければなりません。
どんなに優秀な熱交換換気を取り付けても10年以後に取り換えの費用が多額にかかるようでは家計の負担が大きすぎます。電気設備器具は壊れることを考えておかないといけない重要な部分です。
Q1住宅を私が進める理由は暖房・冷房のエネルギーが大きく削減でき機械に殆ど頼らない冷暖房が可能だということと、そのことで住み心地が良くなり、脳梗塞 心筋梗塞 心の病 皮膚疾患などが減るということです。
住宅はストック型で住み継がれて行く時代になるでしょう
日本の20世紀の今までの住宅「造っては壊す」フロー消費型社会から、「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う」ストック型社会への転換が急務だと考え国は新しく長期優良住宅の普及促進に関する法律をつくりました。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成20年12月5日に制定・公布され、平成21年6月4日に施工されることとなりました。
やっと国が今までの住宅政策に問題があった事を改め、急に方向を変えて住宅をストック型の性能の良い住宅に変えましょうとした動きです。その性能がアップされる建設費の一部を補助しますとの政策です。それはブランド化事業として2020年にも引きつづいています。
もう少し早くに国がストック型の建設の考えになってくれれば建築の事のわからない一般の消費者の方に無駄使いをさせず快適に暮らせていたと私は思います。それでもこれからの住宅建設はマンションを含めて性能がよくて長持ちしてそのうえCO2を削減できる住宅に変わっていくのだと思います。
住宅先進国といわれるスウェーデンの無暖房住宅から考える広島の家
私が2006年にスウェーデンに室蘭工業大学の鎌田先生を中心にした新住協の本州の会員と同行して北欧の住宅の研究視察に行き日本とは違う住宅の考え方や建築工法に共鳴しました。
スウェーデンでは徹底した省エネルギーを追求した結果冬-20度にもなる外気温の時でも暖房器もなく人間の体温や照明やテレビ等の家電や料理の熱を利用して温かく暮らせる事が可能な無暖房住宅を体験する事が出来ました。その完成された無暖房住宅では冬の室内でパーティーをした時など人が多いと暖房機もないのに暑くなりすぎるオバーヒートの状況を起こしてしますそうで、そのオーバーヒート対策が天窓でなされていました。
夏暑く、冬寒い広島でスウェーデンに建つ無暖房で暮らせる発想の家を建てると寒い冬当然暖房器具は不要になりますが、スウェーデンとは異なる湿度が高くむし暑い夏にはどうかと色々な角度から考察する必要があります。
スウェーデンの寒い冬に無暖房で暮らす発想が出来るなら広島の暑い夏に無冷房で暮らせる家も出来ないのかと考えるようになり、それからさまざまの工夫を経て現在はまだ全く冷房用のエアコンのいらない住宅が完成したわけではありませんが、冷房期間の短く冷房消費エネルギーの少ない家が出来るように進化させていただいています。
最近では夏の夜に気持ちよくぐっすり眠れて、それも年中同じお蒲団で寝ていただけるような心地よい家が造れるようになっています。高陽町に完成した新築住宅に私が8月の暑い時期に宿泊体験させて頂いたときは天窓からの早朝の放射冷却の驚くような冷たさを体験させていただきました。
広島の夏対策
当社では新築もリフォーム工事も手がけています。リフォームでは夏暑くて2階で眠れない。子供の受験がもうすぐだが2階の子供部屋が暑くて勉強でき等の住宅をQ値1以下の住宅にすることも考えています。専門的には断熱のプロの先生でも広島でQ値1は必要ないと考える人が大多数だと思いますが省エネとエコと心地よい暮らしを追求すれば広島市で冬寒い時暖房器具もなく夏暑い時も、ほとんど冷房器具のいらない住まいが出来る可能性はあると思います。
新住協のQ1住宅はLevel-1~Level-4まであります。Level-4の方が高断熱ですが、その様な高断熱住宅を造ってみてわかったことは、本当に省エネになるのですが、夏にはエアコンの稼働率が少なく除湿が出来ないというもどかしさが発生しました。2019年にそれに気づき、エアコンの稼働率を考えた家造りを推進してます。そういう事態もありますが、当方で設計させていただいている建物は新住協のQpexで計算してQ1Level-1の建物を建てる様にしています。鎌田先生の考えが解かる新住協のQ1-X住宅とはのページをリンクしておきます。
蒸暑地言われる広島での高断熱高気密はこれから我々が発展させなければならないと思っています。寒地と蒸暑地での対応はおのずと変わるものだと思います。
カオル建設では通常のお問い合わせから見学・図書館のご案内、メール診断など受け付けておりますのでお気軽にご利用ください。